Uさんは30代のエリートサラリーマン。
いつも時間通りにおいでになります。待っていらっしゃる間も静かに本を読んでいらして、自分をコントロールできるタイプの方の様です。そのUさんには悩みが有りました。

初診の時「2006年6月」にお聞きしたのですが、もう何年も手に原因不明の水泡ができる=掌蹠膿疱症=で、皮膚科に通院していらっしゃいました。皮膚科でステロイドのお薬をもらっていたのですが、なかなか治らず、最近は通院もしていない、とのことでした。手を見せていただいたのですが、小さな水泡があちこちに広がっていて、痛くないかな、痒くないかな、などとこちらが心配する程でした。でも専門ではないのでお答えの仕様がなく、お大事にと声をかけるのが精一杯の事でした。

Uさんは、ヤナガセ歯科では虫歯の治療と、歯石を取ってお口の清潔と健康を保つクリーニングをしていました。ある程度、治療がすすんだ秋の事です。「先生、これ見て下さい。 ほら、手、きれいになったでしょ」と、おっしゃって、パソコンを打っている私の前に両手をさしだされたのです。
本当にきれいな手でした。あのブツブツがきれいになくなっていました。
Uさんの笑顔がすぐそばに有りました。驚きと嬉しさとで私も笑顔を返しました。

「良かったですね。特別に何かをされたのですか?」
「いいえ、ここでのクリーニングの治療だけです」
またまた驚いて、「えっ 本当ですか? それだけで・・・」と、言葉に詰まってしまいました。

本当にクリーニングだけで良くなったかは分かりませんが、少しはお手伝いする事が出来たようで、とても嬉しく思いました。うわさを聞かれたのでしょうか。足に掌蹠膿疱症のあるNさんもおいでになって、今、虫歯とクリーニングの治療中です。Nさんも、少し良くなってきたので、今度はメタルフリー(お口の中から金属を取り除いて、金属無しにする治療)にしようか、と話し合っています。

いずれにしても、良かれとおもってした金属治療が思わぬところで害を与えてしまったり、お口のばい菌の塊が体に影響を与えたりと、色々な事が起きてきます。私達の治療は、やはり手を加えるのは最小限にして、そして出来れば本当に安全、安心なものにしていきたいものです。